変遷していく広告媒体
2007年に1.6兆円だったテレビ業界の広告費は2017年に1.5兆円、新聞においては6,000億円から3,200億円と減少が止まりません。
それに対してインターネットは1,500億円から7,200億円へと成長を続けています。
特に若年層への露出をしたい広告主はテレビではなく、ラインやインスタグラムをはじめとするソーシャルネットワークサービスや、インターネットメディアへの出稿を増やしています。
マーケティングの中心が個人へと移行する
現在、日本では、10万人のフォロワーを持つインスタグラマーの場合、企業とのタイアップ投稿一回につき120万円と言われています。
また、独自のハッシュタグを作って広告を「見せる」のではなく、「巻きこむ」手法の広告、人から人へとバイラルでシェアすることによって影響力を拡大しようという広告も増えてきました。
たとえば2016年にポカリスエットの広告として展開した「#ポカ写」などは「巻きこみ」手法の広告として成功した一例です。
広告を広告として意識せず、面白いからシェアをする
これからの広告はマスメディアの中だけではなく、個人のネットワーク上に入り込んでいくことが不可欠です。
ここで大事になってくるのがこれまでのACR(広告接触率:どれだけ広告を見てくれたか)ではなくAGR(広告増殖率:どれだけ広告が拡散されたか)という考え方です。
つまりその広告を好きになり、面白いと思って各個人がシェアをしてくれたか、ということを目安にするのです。
シェアする広告の効果を計測するブロックチェーン技術
この広告増殖率を計測するときに役立つと期待されている技術がブロックチェーン技術です。
ブロックチェーン技術の使用により、広告の改変を防げることに加え、どの広告が誰を介して、何人にアプローチをして、そのうち何人が成約に至ったか、リアルタイムの成果を追うことができるようになります。
これにより広告費用をより効率よく使えるでしょう。そして広告を載せた出版社、個人などは成果に応じた素早い支払いを期待できます。
さらには、その発信から購入までのデータを通じて、購買者へ確実に届く広告手法についても改善を繰り返すことができるようになります。
これはリアルタイムで数字が集計できるネットワーク型の広告手法ならではの強みと言えるでしょう。
ブロックチェーン広告技術の現在
現在は、IBM、MetaX、Amino Paymentsなどの大企業が、合理的なマーケティングと、透明性の高い広告モデルを目指して、広告分野における研究を続けています。
IBMと協業しているMediaocean CEOのBill Wise氏は下記のように話しています。
「近年、業界は、仲介手数料やノン・ワーキング・メディアなど、進歩を妨げる持続不可能な経済と透明性の問題に悩まされています。IBMと提携することで、透明性を向上させる最初の広告ブロックチェーン・ソリューションを広範囲に立ち上げることができます。」
これまで主流だったマス広告から、インフルエンサー広告となり、シミュラークル広告(個人がシェアして広げていく広告)へと広告のモデルが変化しています。
広告企業だけではなく、それぞれの個人が媒体となる時代のベースにも、ブロックチェーンがどのように活用されて行くのか、目が離せません。