最新のICOや仮想通貨ニュースなど熟練者の方向けのニュースまで幅広く情報を取り扱っております。
最新の暗号資産ニュースやICO関連情報など、初心者にも分かりやすくお届けします

エストニアが、独自の暗号通貨エストコインのプロジェクト縮小を決定

エストニアが、独自の暗号通貨エストコインのプロジェクト縮小を決定
2018年10月25日

エストニアといえば、世界でも有数のIT立国であることで有名な国です。ブロックチェーンを使った技術に国家単位で力を入れており、既に様々な行政手続きをオンラインで行うことが可能になり、また、決済に暗号通貨が使われるようになっており、他国に先んじてブロックチェーン技術が生活の一部になっています。

2017年7月に、そんなIT立国のエストニアが国単位でICO計画しているとの報道がありました。発表された当時は、ついに国レベルでICOが行われるのではないかと、非常に話題を呼びました。

しかしICO計画の報道から1年以上経過した現在、エストニア政府は、エストコインのプロジェクトを縮小することを決定したようです。

ICOから一転してプロジェクト縮小へと舵を切った理由、そしてエストコインの今後について考察していきます。

 

そもそもエストニアってどんな国

 

エストニアは、ヨーロッパの北部に位置し、バルト海に面したラトビア、リトアニアと共に、バルト3国と呼ばれています。東はロシアと国境を接しており、ソビエトが崩壊するまではソビエト連邦に属していました。独立後は、ヨーロッパとの結びつきを強くしていき、2004年にEUに加盟しています。

2007年に起きたロシアのサイバー攻撃によって国のネット機能が麻痺した事件を機に、国を挙げてITに力を注いだことで、近年ではスタートアップ環境が整備された欧州有数のオフショア開発拠点としてすっかり定着しています。

 

縮小に踏み切った理由

 

エストコインは、当初は法定通貨と相互交換可能とするという構想もあったようなのですが、今現在では難しいという判断に至っています。

プロジェクト発表の2ヶ月後の2017年の9月には、欧州中央銀行総裁のMario Draghi総裁から「ユーロ圏を構成する国は独自の通貨を導入できない。」とコメントが出ています。

エストニアはEU加盟国であり、法定通貨をユーロとしています。EUの条約では、EUに加盟する国々はユーロを法定通貨として使用しなければならないとされているので、もしエストコインを独自通貨として採用し、ユーロと互換性を持つ通貨とした場合、これは条約違反ということになってしまいます。

Draghi総裁はロイター通信の取材でも、「ユーロ圏内のEU諸国が独自通貨を導入することは不可能である。」と断言しています。

仮にエストニアが自国のエストコイン発行にこだわり、EUから離脱したとしても、エストニアの享受する恩恵は非常に少ないと思われます。

約半年後の2019年3月末に、EUからの離脱を予定しているイギリスは、ユーロではなく自国通貨のポンドを採用することで、独自の経済圏を構築していますが、それでも経済的にかかる圧力というのは相当なものです。ユーロ圏に属しているエストニアがEU離脱をするとしたら、イギリス以上の圧がかかる事になるでしょう。

また、それらを乗り越えてエストコインの発行まで漕ぎ着けたとしても、エストコインがメジャーな通貨であるユーロと相互交換できないのであれば、その価値を担保し続けることが難しいという課題があります。もしエストコインが暴落しようものなら、連動して国の財政にも大きな打撃を受けることになります。

こういったリスクを鑑みると、エストコインの発行に踏み切ることは非常に難しいことがわかります。そのため、エストニア政府はエストコインに法定通貨としてではなく、別の役割を与えようとしています。

 

エストコインの今後について

 

IT立国であるエストニアでは、行政の手続きの全てがオンラインで出来るようなe-Government(電子国家)構想に力を入れています。最近は、外国人がエストニアのデジタル国民となり、オンライン上で行政サービスを利用したり、起業したりすることが可能なe-Resident(レジデント構想)を2014年から展開しており、既に全世界で2万人以上が登録済みだと言われています。

エストコインを法定通貨利用が不可能となった今、e-Residentへのインセンティブとしての使用が検討されていることが明らかになっています。

エストニアのIT政策を担当するSlim Sikkut氏からも、「我々は、エストコインをe-Residentのコミュニティ内で使う目的で検討している。」というコメントが出ています。

 

まとめ

 

当初は初の国主導によるICOと期待されていたエストコインですが、最終的にはe-Residentという政策の中での利用に落ち着くようです。

しかし、欧州オフショア開発の拠点として一定の地位を確立しているエストニアにおいて、その環境を整備するためのe-Resident政策にエストコインが組み込まれるということは、さらなる可能性が期待できるかもしれません。

エストコインの使われ方は今後も変化していく可能性があるため、その動向が注目していく必要がありそうです。