仮想通貨は、あくまでもコンピュータ上のデータの為、「改ざんしてごまかす事が出来るのではないか」と考える人も多いのではないでしょうか?
しかし、仮想通貨は最も脱税が難しい金融商品です。
実際、過去には利益をごまかして申告し、追徴課税された事例もあります。
今回は、仮想通貨の納税義務から脱税が難しい理由について事例を挙げながらご紹介していきます。
仮想通貨の無申告は脱税扱いになる
仮想通貨の無申告は、最悪の場合「脱税」として扱われます。
仮想通貨で得た利益は、雑所得に分類される課税対象とされ、例えば会社員であれば年間20万円以上の利益となった場合、確定申告の義務が発生します。
原則、申告の義務を知っていても知らなくても、課税対象の所得を申告しなかった場合や利益をごまかした場合は、必ず追徴課税されます。
申告をしなかった場合は15%〜20%の無申告加算税が、申告の義務を知りながら確定申告しなかった場合は35%〜50%の重加算税が課せられます。
さらに納税が遅れれば2.6%〜14.6%の延滞税が追加で発生します。
なお、故意的に所得をごまかしたり、課税額を改ざんしての申告を行うなどして、悪意のある無申告と判断されると、それが脱税として扱われる場合があります。
脱税は最悪の場合、10年以上の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくはその両方が課せられるため、仮想通貨の利益を正確に申告しないと大変危険です。
しかし、仮想通貨の利益を申告しなくても脱税にならない場合があります。
仮想通貨を保有したままでは脱税にならない
仮想通貨の売買せず保有したままであれば、税金を支払う必要はありません。
仮想通貨が課税対象となるパターンは、主に3つあります。
・仮想通貨を法定通貨に換金
・仮想通貨で別の仮想通貨を購入
・仮想通貨で商品の購入
お金の他に社会的利益が発生した場合、それが仮想通貨の利益に含まれます。
つまり、仮想通貨を所持したまま値上がりしてもそれは利益とは見なされず、保有による含み益は非課税対象となります。
仮想通貨は脱税が不可能
仮想通貨は現物無しの通貨であり、あくまでもデータ上に限られたお金です。
そのため「少し改ざんして税金をごまかせそう」「隠せばバレないだろう」と考えてる人も多いのではないでしょうか?
しかし、仮想通貨の利益をごまかすことは、ほとんど不可能です。
仮想通貨が脱税できない主な理由は以下の2つです。
・取引履歴でどのくらい利益が出たかがわかる
・ブロックチェーン技術によって取引の証拠が残る
CoincheckやbitFlyerなどの仮想通貨取引所は、税務署に情報開示を求められた場合、原則断ることができません。
そのため仮想通貨の利益を申告せずに税務署に怪しまれた場合、仮想通貨取引所の履歴を確認されて脱税が発覚するということも十分にあり得ることなのです。
なお、ブロックチェーン技術によって過去のトランザクションを遡ることで、誰がどこに何の仮想通貨をいくら送金したのか追跡することができます。
これにより当人の仮想通貨の売却益や現在の保有数は、寸分の狂いもなく把握することができるため、仮想通貨の脱税は不可能と言えます。
申告漏れが発覚して2,400万円追徴課税された事例
国民の税務調査を行う国税庁が、ある会社員男性に約2,400万円の追加徴税を行なったことを発表しました。
内容は男性が複数の仮想通貨取引所に自分や妻名義の口座を開設してそれぞれに利益を得るも、自分のいくつかの利益だけを申告して妻名義の利益を申告しなかったというものです。
申告漏れの総額は5,000万円にものぼることが発覚し、東京国税局はその男性へ2,400万円もの重加算税のペナルティを課しました。
マルサの強制査察!仮想通貨による脱税のリスク
税務調査の方法はいくつかあり、中でも国税庁には厳しい査察を行うマルサという部隊があります。
仮想通貨の節税と謳って明らかに悪質な脱税を行なっていると判断された場合、マルサの家宅捜索が行われます。
税務調査はある程度任意で行われるのに対し、マルサの調査は強制です。
当人の同意がなくても家の隅々からパソコンの中身まで好き勝手調べられ、場合によっては書類・物品・パソコンを全て差し押さえられることもあります。
さらにはクラウド上のデータも調べられるため、GmailやTwitter、LINEなどのSNSの履歴も調査対象となります。
当たり前ではありますが、脱税や無申告も立派な違法となるため犯罪者扱いです。
マルサの査察調査後の裁判では、ほぼ100%で有罪となり、その後は前科者として扱われ、実名での報道および社会的制裁が下されます。
このように、仮想通貨による利益の無申告は非常に高いリスクを伴います。
つまり仮想通貨の利益を申告しないと、上記のようなデメリットが発生するため、確定申告の際は仮想通貨もきちんと含めることをお勧めいたします。
※関連記事「いくらから?仮想通貨で確定申告が必要になるのか分かりやすく解説」