世界最大の金属デリバティブ市場を誇るロンドン金属取引所(LME)は、ブロックチェーンを使用して物質的な意味での金属を追跡するイニシアチブをサポートしていると言われています。
フィナンシャルタイムズ紙の報道によると、LMEは商品取引会社メルキュリア・エネルギー・グループが主導するコンソーシアム構想を支持しているとのことです。このコンソーシアムは、銅・亜鉛・アルミニウムなどの物理的な金属の取引を追跡するため、ブロックチェーンベースでのシステム構築を行なっています。
同報告書によると、「Forcefield」と呼ばれるこのイニシアチブは、Macquarie銀行やING銀行などの銀行からも支持を得ています。このブロックチェーンベースのシステムによって、業界のバイヤーが金属の供給源を突き止めることができ、そしてトレーダー自身が在庫として持つ金属の所有権を証明することが可能です。
LMEの最高経営責任者であるMatt Chamberlain氏は、イニシアチブへの関与については具体的にコメントしていませんが、フィナンシャルタイムズ紙に次のように述べています。
「このブロックチェーンベースのシステムでは、自分の金属の所在の追跡、そして自分の金属であることの証明が出来ます。しかしセキュリティーの観念から、他の人からはそれらが分からない仕様になっています。」
更に「業界がこのようなシステムを運用するために団結することができれば、「金属取引業界にとって大きな勝利」になるでしょう。」と彼は付け加えました。
LMEは、世界中の34か所に500もの「認証済み」倉庫を持っており、ウェブサイトの情報によれば、所有者の代わりに金属を保管しているとのことです。
しかし、フィナンシャルタイムズ紙の報告によると、世界最大の金属消費国である中国には「承認されていない」倉庫があるといいます。これにより、トレーダーや消費者が金属の出所や一般的な需給状況を確信することが困難になっています。
LMEは2016年に、中国に保管されている材料を追跡するためのLMEshieldと呼ばれる電子システムを発表していました。しかし、伝えられたところによると成功とは言えなかったようです。
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