他のアルトコインのプラットフォームにもなっているイーサリアムのそれと比べると、その動向はあまり知られていません。
直近でビットコインの「クジラ」に関する報道があったのは日本が10連休の真っ只中だった今月2日です。
その内容は「Loaded」と呼ばれるクジラが、40,000BTC(当時の価値で2億1,190万ドル、約230億円)を送金をしたところ、その手数料が4ドル程度だったことを伝えるもので、これにより仮想通貨が任意の金額を、安価に、事前確認なしで送れることが証明されたというものでした。
ビットコインとイーサリアム、いずれの場合もその仮想通貨を大量に保有している機関投資家などを指して「クジラ」と称していますが、どこまでを「クジラ」とするかは銘柄によって異なります。イーサリアムでは上位500のウォレットのうち、プラットフォームとして利用しているものを省いたものを「クジラ」としていましたが、ビットコインでは上位100を一つの区切りとしています。
この上位100というボーダーラインは、弱気相場の時に取る行動を元に引かれています。というのも、このラインを境に明確に動きが異なるからです。
一例として2018年12月16日〜2019年2月26日までの2ヶ月間の動向が挙げられています。この期間はいわゆる弱気相場で、緩やかにその価格は下がり続けており、2月20日を越えた頃に急騰するという値動きを見せました。この期間中に100~1,000位のウォレットはその資産を減少させたのに対し、上位100のウォレットは大きく資産を増やしました。
損切りせずに耐えられる資本力の差とも言えなくもないですが、こうした理由で上位100をビットコインにおける「クジラ」としています。
「クジラ」の影響力については興味深いデータがあります。2011年からの相場変動のデータを紐解くと「クジラ」の影響は価格を下落させることよりも、上昇させることにより多く寄与していることが分かっています。
「クジラ」は誰なのか。気になる所ですが、仮想通貨の匿名性によって、どのウォレットを誰が所有しているかまでは把握できません。しかしながら、過去の言動から「クジラ」に該当するであろう人物や企業は挙げることが出来ます。
・Digital Currency Group(デジタル資産の投資会社)のCEO、Barry Silbert氏
・Draper Associates(VCファンド)の創設者、Tim Draper氏
・Tyler and Cameron Winklevoss兄弟(取引所のGemini)の共同創設者
これ以外にも、初期からマイニングを行っていたり、規模を拡大している仮想通貨ファンドの創設者などを当たれば「クジラ」の正体は分かりそうです。
こうして挙げられた人々をみていると、大多数がベンチャーキャピタルやデジタル資産への投資を行っているファンド、あるいは仮想通貨の取引所、もしくはそれらの創設者といった、最初期からビットコインに投資をしていた人たちであることが分かります。
上位100個強のウォレットに流通している全ビットコインの6分の1に当たるビットコインが入っていると考えると、「クジラ」の持つ影響力はとてつもないものにも思えます。しかしながら、元を辿れば多くの人が着目する前に投資を行うことで今のポジションを得たと考えれば、ビットコイン以外で「クジラ」になることも夢ではないかもしれません。