先週末、ソーシャルニュースサイト/掲示板であるRedditでちょっとしたニュースがありました。
同サイトはメディアによっては「米国版2ちゃんねる(5ちゃんねる)」と紹介されることもありますが、一般に広く利用されているサイトで著名人の認知も高いです。
その理由の一つとして、このサイトの特徴にAMAと言うシステムがあり、これは”I Am A” (私は〜である) もしくは”Ask Me Anything” (何でも聞いて) の頭文字を取ったもので、過去には寄せられた様々な質問に、ビル・ゲイツ氏や、オバマ前米国大統領などが答えています。
このAMAにリップル社の元CTOであるStefan Thomas氏が投稿しました。
この投稿は、4歳の時にプログラミングを始めたと言う自分史に始まり、2010年にはビットコインを有名にするために「What is Bitcoin?」と言う映像を作ったことや、2012年にスタートアップであるリップル社への入社から2018年5月の退社に至るまでに、現在自身が創設した企業について語られています。
仮想通貨に興味を持っている人を中心に様々な質問が寄せられ、その中に
”6,500BTC失ったと報じられているけど本当?”
と言うものがありました。
同氏は、紛失額を7,002BTCであったと訂正しながらも、
それが前述のビットコインの映像を作った時の対価であったこと
シークレットキーの紛失に気付いてからの2週間はかなり落ち込んだこと
古いパソコンを探せばシークレットキーが見つかる可能性があるが、気にしていない
と、当時のことを振り返っています。
Thomas氏が映像制作の対価として7,002BTCを受け取ったのは2011年、最初のビットコインバブルが起こった年です。とはいえ、当時の最高価格は1BTC=1,489円と、今のビットコインの価格を知っていれば信じられないような安さでした。
同氏の受け取った7,002BTCは、2011年のピーク時のレート換算で約104万円相当でしたが、シークレットキーを紛失せずにそのまま保有していれば、2019年の6月4日現在で約60億円になっていました。
こうした億り人は、仮想通貨に投資をしている人ならば一度は夢見るものです。
「せっかく億り人になったものの、高額の課税によって破産してしまった人もいる」といった真偽の怪しいながらも起こり得そうなニュースもメディアで報じられているため、仮想通貨投資を行っている方の中には「億り人になった時のため」の所得税対策を既にしている人もいるかもしれません。
では、Thomas氏のようにシークレットキーを失くして事実上紛失してしまった場合、税金はどうなるのでしょうか?
仮想通貨に関しての明確な取り決めはありませんが、資産を失った場合の税金に関しては、所得税法の1110条に以下のように定められています。
災害又は盗難もしくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の控除を受けることができる。
つまり、2018年に頻発した取引所のハッキングのような「盗難」であれば、その損失を計上することで納税額を抑えることができます。(CoincheckやZaifの場合、最終的に取引所が損失の補填を行ったため、税務申告の必要はありませんでした)
しかしながら、Thomas氏のように自身の管理下にあったシークレットキーを紛失したのであれば、税法の適応を受けることが出来ません。
紛失してしまえば売買自体が不可能となり、利益を確定することも出来なくなるため、高額な納税だけを被るということにはなりません。
とはいえ、「仮想通貨投資自体には成功したのに、ウォレットのシークレットキーを忘れて億り人になり損ねた」ということがないように、管理はしっかりと行う必要があります。