法定通貨のような為替の手数料がかからず、送金のタイムラグも少ないことから、仮想通貨は国を跨いでの利用に適しています。
これに目をつけたのが旅行業界で、ホテルや旅行業者などによる仮想通貨決済の導入は徐々に増えてきています。
またスイスやマルタ・アムステルダム(オランダ)などでは、ビットコインによる決済対応だけでなくビットコインATMが設置されているなど、広く受け入れられていることで有名です。
「旅行」という枠にとらわれず、レストランやレジャー、アクティビティなどの支払いに仮想通貨を対応している広まりつつあり、海外で仮想通貨決済をするシーンは今後増えて行くことでしょう。
ここで気になるのが、海外で仮想通貨を使用した場合の税金についてです。
全世界所得課税制度により、日本人(居住者)には「国内」「国外」両方における源泉所得は課税対象になります。
また一方で、日本に居住していなければ、国内源泉所得のみ課税されることになります。
居住者:日本国内に住所があるか又は現在まで引き続いて1年以上居所がある個人。
居住者は非永住者とそれ以外に分類されます。詳細は国税庁HPへ。
つまり、日本に居住しているならば、海外での仮想通貨決済についても、所得を計算して確定申告をしなければなりません。
ここでまず、日本の居住者が海外旅行先で「法定通貨」を使って買い物をした場合を考えてみましょう。
法定通貨で買い物をしたとしても、旅行期間中に為替が変動して、その差益(為替差益)が20万円以上になる可能性はあまり考えられません。
為替差益は給与所得以外に当てはまり、その金額が20万円未満であれば所得税としての確定申告は不要となりますが、上記の通り稀なケースとなるため、税務署もそれほど注視はしていません。
ただしこれは、一般的なレベルでの海外旅行における購入・換金での話であり、その金額が多額である場合や、海外送金に対しては税務署も目を光らせています。
一方で仮想通貨の場合、1日の価格変動が大きいケースも多いため所得(差益)が発生する可能性も高いと言えます。
そして海外旅行後も仮想通貨の利用は継続することになるため、結果的にその所得が20万円以上になるケースがあると考えられているのです。
またここで、仮想通貨の特徴の一つとも言える取引履歴が追跡可能であることが鍵となります。
現金と比べるとその取引経緯を把握しやすいことから、決済に利用した時点で売却益が出ていればその証拠も揃うため、課税されかねません。
所得課税に関しては、二国間の法定通貨同士の場合も仮想通貨の場合も、扱いは同じです。
しかし、仮想通貨の方が悪目立ちしてしまうのは否めないでしょう。
そのため、後々確定申告をする必要が生じてくる可能性を考え、海外での仮想通貨決済の領収書等は保管しておくことをお勧めします。
「日本居住者」でいる限りは国内・国外問わず、仮想通貨については課税されるということになりますのでご注意ください。
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