今週月曜日に、楽天の子会社である楽天ウォレットが仮想通貨の現物取引を開始しました。
現時点での取り扱い銘柄は、ビットコイン・イーサリアム・ビットコインキャッシュの3種です。
楽天の仮想通貨に対する動きは前々から取り沙汰されており、昨年の8月には240万ドル(約2億6,500万円)で国内の仮想通貨取引所の1つ、みんなのビットコインを買収して話題となりました。
今年3月には商号を「楽天ウォレット」へと変更し、監督官庁に仮想通貨交換事業者としての申請を行なっていました。
仮想通貨の取引所の格付けなどを行なっている調査会社Cryptocompare社の報告によると、日本の市場規模は全世界の取引量10%相当を占めており、米国に次いで世界2位の市場となっています。
当初、5月のサービス開始を予定して新規の口座開設の申し込みを受け付けていましたが、セキュリティ面の強化を理由に8月のリリースとなりました。
その一部として、国内で相次いだ取引所のホットウォレットがハッキングされたことによって仮想通貨が盗まれたという事例から、顧客から預かったデジタル資産と楽天ウォレット自身の資産は分けて管理を行い、その上で顧客の資産はインターネットから物理的に隔絶されたコールドウォレットにて管理を行い、同グループの信託銀行の楽天信託が、同じくグループ内の楽天銀行に預け入れる形で管理することを発表しています。
これにより、例えば楽天ウォレットが破綻するような事態になったとしても、預入している仮想通貨はそのまま返還することが可能になり、顧客の資産の安全性が高まります。
それ以外にも米国の大手仮想通貨セキュリティ企業であるCipherTrace社と提携することでAMLや透明性の強化を図っています。
同社は、仮想通貨やブロックチェーン分野に特化したサービスを提供しており、顧客には政府・規制当局・法執行機関・監査法人など多岐に渡ります。セキュリティ関連以外にも、膨大なブロックチェーン上のデータをAIで分析することによって、送金が正当なものなのか、あるいは犯罪に関与するものなのかの分析を行うことで、犯罪組織に資金が流れることを未然に防ぐことができます。
日本の仮想通貨市場は、ウォレット数などの様々な指標から既にある程度まで成熟していると判断されており、知名度の低い取引所の新規参入であれば大勢に影響はありませんが、今回参入する楽天はECモールを中心とした複合企業であることから、グループ内の企業をはじめとした様々な企業に波及効果があるのではないかという見方も出ています。