XRPを発行しているリップル社の投資部門のXpringが、Coinme社に出資したことが明らかになりました。
Xpringによる出資額は明らかにされていませんが、Coinme社は総額で約150万ドル、日本円にして約1億6,000万円相当の金額を調達したと発表しています。
Coinme社は米国発の仮想通貨ATM事業者であり、大手食料品店などを中心に全米に2,586台のATMを展開しています。仮想通貨ATMの総数ではないため単純比較はできませんが、ビットコインのATMが全世界に約5,500台であることを考えると、いかに大きなシェアを占めているかがわかります。今回調達した資金は、国内事業のインフラの拡大と、主な国際市場に進出するためのライセンス取得に充てるとのことです。
2019年9月1日現在XRPはCoinme社のATMで取り扱われおらず、またCoinme社も明確な回答は出していません。しかしながら今回のXpringの出資によって、新たにXRPが追加される可能性が高いのではないかと言われています。
リップル社はXRPのエコシステムのためにこれまでも様々な出資を行ってきましたが、ATM業界への出資は今回が初めてとなります。とはいえ、「仮想通貨を普及させることにより、既存の金融システムの問題を解決する」という目標に変わりはありません。
しかしながら、この「普及させる」ということで、大きな問題が起こっています。
XRPはビットコインなどと異なり、総発行枚数1,000億XRPが既に全て発行されておりマイニングを必要としません。全てが発行済みと言っても630億万XRPをリップル社が保有しており、そのうちの550億XRPを毎月10億XRPずつ市場に売却しています。
BTCやETHなどはクジラが数頭いるものの非中央集権の仮想通貨ですが、XRPは発行元のリップル社が最大のクジラであることから中央集権であると言えます。非中央集権の仮想通貨となるために、市場にリップル社が保有する全てのXRPを放出した場合、暴落が起こるだけでなく、別の団体や企業が買い占めることで中央集権の状況が変わらないということも起こり得ます。既に全てが発行済みになっているため、マイニングによって市場に流れるXRPが増えることもありません。
こうした理由を背景に行われている定期的な売却でしたが、以前からXRPを保有している投資家からすれば、絶えずリップル社が売り圧力を強めているため、XRPの価格が下降の一途を辿っているように受け取れます。
こうした不満の声が集まり一部の投資家を中心として「リップル社にXRPの投げ売りをやめさせろ」などの主張の運動が広まっています。
売却批判派は、リップル社に売却をやめるよう抗議しており、もし主張が受け入れられない場合はフォークすることで、リップル社を含む不要なものを排した新たなXRPを創造するとしています。批判派は既存のXRPと銀行との提携も「不要なもの」としています。
一方で売却推進派による抗議も、批判派へのカウンターのような形で発生しています。こちらは、普及を推進を考えているのであれば、従来「毎月10億XRPの売却」では足りないとし、それ以上のXRPを売却することで、それを資金にXRPのインフラの強化に充てるべきだと主張しています。
専門家からは、XRPが構築しようとしたエコシステムがFacebookの仮想通貨であるリブラと似通っているため、投資家の関心がそちらに行ってしまい、結果的にXRPの低迷が続いているのではないか、という分析も出ています。
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