ロシアの大手法律事務所のZheleznikov and Partners(以下ZP)が、「ロシアで告訴すれば、2014年に日本で起きたマウントゴックス事件で流出したビットコインを取り戻すことが出来る」と発表しました。
発表によれば、流出したビットコインを受け取ったのがロシア人であることを特定したため、ロシアの法に沿って法的措置を講じれば、最大で流出した80万BTCの25%弱に当たる20万BTC(約1,700億円)が回収出来るとのことです。
ZPは回収したビットコインの75%を成功報酬として要求するなど強気な態度を示していますが、真偽のほどは定かではありません。
また、ロシアは、マイニングを行うに当たって重要な2つの要素である安い電力、寒冷な気候の両方を満たしていていることもあって、急速にマイニングの量を増やしています。
ソ連時代に軍事産業の拠点として整備され、現在は操業を停止している工場が数多くあるため、そういった工業地帯の余剰電力を安く転用することで、大規模なマイニングファームが運営されています。電力の消費量で見れば、全世界のマイニングによる電力消費量の10%を、ハッシュパワーで見れば全体の約7%をロシアが担っています。
これらの数字はあくまで「ロシアにあるマイニングファーム」の数字であり、マイニングファームの扉は国外に向けて開け放たれており、日本や中国、インドといったアジア圏だけでなくアメリカやブラジル、スペインといった様々な地域からの投資を受けています。
寒冷地と安い電力量を確保できる地域は他にも存在しますが、他にない強みとしては元軍需産業の工業地帯という特徴を生かした高い防犯警備体制にあると言えます。
ロシア国内での個人によるマイニングは禁止されていますが、法整備の穴を突く形であくまで「従来のデータセンター」として運営しているため、合法的な運用が出来ているそうです。
一方で高まるマイニング熱を背景に、違法なマイニングを行なった結果、摘発されるケースも報告されています。
昨年2月に、核兵器の研究開発センターのスーパーコンピューターをインターネットに接続し、不正にマイニングを行おうとした研究員達が逮捕されました。
逮捕された3名のうち2名は公判待ちですが、1名に関しては今月17日に判決が出ました。当初は、利用された施設が重要施設だったことも勘案され、国家反逆罪などの重い刑罰の適用が検討されていましたが、仮想通貨を直接的に定めた法律がないことから、最終的に不正アクセスと電子情報の保護違反で、約45万ルーブル(約75万円)の罰金という判決に落ち着きました。
ロシアに限ったことではありませんが、新たな分野の産業であることから法規制の網かけとそれをかいくぐるイタチごっこは今後も起こりうると言えます。