暗号通貨取引において、ネットワークやプラットフォームへのアクセスが必要なのは周知の事実かと思います。
そして、取引所のウォレットに資産を入れたままにしている、と言った方も意外と多いのではないでしょうか。
しかしハッキングなどの被害も後を絶たず、サービス提供者に頼りきりのセキュリティにも心配の声が多いことも事実です。
では、どうやって自分の資産を守ればいいのでしょうか?
最も簡単な方法は、「オフラインのハードウォレット(コールドウォレット)に資産を移す」ことです。
コールドウォレットは多くの企業から発売されており、形もカードタイプや、中には時計タイプなど様々あります。
秘密鍵をネットアクセスできるような場所に保管しないよう、印刷した紙媒体で保管する「ペーパーウォレット」もその一つです。
そんな中、イギリスのブロックチェーンクライアントやウォレット開発を行っていスタートアップ企業Parity Technologiesは、古いスマートフォンを暗号通貨のウォレットとして使えるようにする専用のアプリケーション「Parity Signer」の開発を行って来ました。
今月2日、最新バージョンがリリースされています。
Parity Signer v3
コールドウォレットはネットワーク接続して使用してしまうと、オフライン特有のセキュリティが意味をなさないことから、Parity Signerも、スマートフォン端末を使いながらも、通話やWebに接続して使用しない設定になっています。
そのため、ユーザーはアプリをダウンロード・使用する前に、工場出荷時の設定にリセットする必要があります。これにより、携帯電話の生体認証情報と識別情報が消去されるのです。
そして機内モードをオンにし、Wi-FiやBluetoothはオフにしてネットから切り離した上で、操作します。
今回のアップデートで、PolkadotとEthereumの両ブロックチェーンが統合され、資産の保存は勿論、ガバナンス提案への投票、オフライン取引への署名が可能になりました。
ユーザーはまず、専用アカウントを作成してPolkadotアプリと接続します。
アカウントにおいて、ユーザーは「PIN」によるトランザクション署名を行い、そのトランザクションを暗号化した上で整合性を確認することができます。
保有している暗号通貨の転送には秘密鍵の入力は必要ありませんが、代わりにQRコードを使用した、ネットワーク上のホットウォレットとParity Signer間を認証と双方向通信によって移動が可能です。
Parity Technologiesとコールドウォレット
Parity Technologiesは、イーサリアム財団の元セキュリティ責任者であるJutta Steiner氏と、Gavin Wood氏によって共同設立されており、分散型ネットワークのためのツールを開発しています。
今年1月には、イーサリアム財団から500万ドル(約5億3,500万円)の助成金を受けていました。
同財団は「スケーラビリティ・ユーザビリティ(ユーティリティ)・セキュリティ」の3分野を重視しており、Parity Technologiesが3分野を満たす「イーサリアム・プロジェクトへの主要な技術的貢献者」であると絶賛しています。
ネットワークを経由して行われる不正アクセスから守るために、古くなったスマートフォンが使用でき、資産をいわば「自分の金庫に保管できる」となればユーザーは一安心です。
しかし、オフライン管理=完全に個人管理であり、ハードウェアであるスマートフォン自体を紛失するといったリスクもあるため、注意が必要です。
また、リリースされたとはいえまだベータ版であることから、暗号通貨の送付は少量に留めるよう推奨されています。
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